用いて遠隔地にいる医師のオンライン診療を車両内で受けられる医療サービスを「医療MaaS(Mobility as a Service)」を導入する。12月6日に移動診療車のお披露目セレモニーを開催し、2025年1月から実証運行を開始する。
同市は、国内最大の市域を持つ一方で総合病院など医療機関の多くは市中心部に位置し、地域によっては自宅の周囲に診療所や病院がなく医療機関までの移動が難しいのが課題だった。移動診療車を導入することで、居住地域による医療サービス格差の縮小、特に医療資源の乏しい地域における患者の早期治療や重篤化予防などが期待される。
移動診療車に看護師が同乗し、遠隔地にいる医師がオンラインで患者を問診したり、看護師に指示して診療することが可能。移動診療車には、オンライン診療システムを通じてバイタル情報をリアルタイムに医師と共有するための遠隔聴診器や血圧計、体温計などの各種医療機器のほか、ポータブルのエコーや心電計を搭載し、プライマリケア(一次医療)に必要な最低限の医療を提供できる。
医師は拠点診療所からオンラインで診察し、看護師が患者の側でオンライン診療をサポートする「D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)」モデルを採用する。比較的健康状態が安定している人が診療対象となるが、患者の容態などによっては医師が同乗して直接診療を行うことも想定し、状況に応じた最適な医療を提供するとしている。
2024年度は国保診療所でオンライン診療のデモンストレーションを行いながら、高山市朝日町の秋神出張診療所から実際の診療を開始する。最大で週1回程度の運行を想定し、順次対応エリアを拡大する予定。実証運用のなかで地元住民との意見交換やニーズの把握・分析を行い、地域の公民館などの集会所を待合に活用するなど、より最適な移動診療車の活用方法を検討する。
2024年度の総事業費は約3600万円で、内訳はプロジェクト推進費、車両および架装費用、オンライン診療システム構築費用、運行業務委託費、医療機器購入費など。車両導入(レンタカー)およびシステム構築、運行業務は、MONET Technologies(東京都千代田区)に委託した。委託費用は約3500万円弱。医療機器は市側で購入し、同乗する看護師も市のスタッフになる。
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